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コラム・インタビュー

「Future of Money~マネーの未来を探る~」イベントレポート(後編)

ニュース 2019年1月9日 投稿

2018年11月18日(日)、東京丸の内のJPタワーにて日経CNBC主催「Future of Money〜マネーの未来を探る〜」と銘打たれた、仮想通貨を軸とした講演・トークセッション主体のイベントが開催された。

前編に続きイベントの内容の一部を紹介したい。

ビットコインの神、ロジャー・バー氏の登壇

今回のイベントの中でも特に注目を浴びたのが、「ロジャー・バー」氏の基調講演であろう。

ロジャー氏は元々起業家であり、若くして多くの資産を築きあげていた実業家であったが、ビットコインや仮想通貨の黎明期とも言える2011年頃に、ビットコインや仮想通貨のスタートアップに多額の投資を行った事から、「ビットコインの神」と呼ばれるまでとなった人物である。

その後もビットコインの情報サイトであるBitcoin.comの立ち上げなどによる、ビットコインの認知度拡大にも大きく寄与し、2018年の現在も仮想通貨界の中心に位置する注目の人物である。

今回の講演では改めてロジャー氏が仮想通貨に対して抱く想いの一端が感じ取れる内容であった。

仮想通貨は経済的自由度を高めるもの

ロジャー氏の講演の中で多く登場したのが「経済的自由度」という言葉だ。

「デジタル通貨は経済的自由度を高める効率的な手段の一つ」という言葉を引用し、経済的自由度が高められるからこそ、仮想通貨は優れたものだという話を語った。

経済的自由度が高ければ世界の貧困を無くすことや、人々の生活を改善すること、戦争の数を減らすことなどにより、世界の人々の幸福度が上がるのだと言う。ロジャー氏はそうした未来をとても期待しているのだという。

ロジャー氏は経済的自由度の重要性を説明するため、1950年代の香港とキューバの写真を紹介した。どちらも1950年代はまだまだ主要都市とは見えない情景であったが、現在は香港は近代的な大都市へと発展し、一方でキューバは香港と比べて大きく発展しているとは見えない情景であった。これが経済的自由度の差なのだとロジャー氏は語る。香港は経済的自由度が世界1位であり、キューバはワースト3位だ。

経済的自由度が上がれば、人々の識字率も上がり、一人当たりの所得も増える。平均寿命も伸び、住環境も改善される。

このように経済的自由度が高い方が起業率も増え、イノベーションも生まれやすくなるとロジャー氏は語る。経済的自由度の低い北朝鮮やキューバから、世界にイノベーションを起こすテクノロジーが生まれたことがあるだろうか? そういったテクノロジーは経済的自由度が高い国から生まれているという。

このようにロジャー氏は経済的自由度を上げることを重要に感じており、そのためにも仮想通貨は経済的自由度を上げる大事なソリューションだと考えているのだそうだ。

通貨は競争することで価値を増す

またロジャー氏が仮想通貨は競争をすることで、その価値を増していくと話していたのも印象的であった。元々の法定通貨は「その国にいる人が使用しているのが中心なので、競争されていない。」と語り、「仮想通貨が広まることで、現在数千種類の仮想通貨同士での競争が行われ、かつ法定通貨とも使い勝手などで競争していくことになり、これが価値を高める。」という思いを説明していた。

「仮想通貨は時に投機対象と見られるが、経済活動とは別なもの。法定通貨がその発行体となる国の中での価値でしか見られていなかったが、仮想通貨は世界中で使用することができ、経済活動を広がることが価値であり、投機的に価値が上がるものではない。」と、仮想通貨自体の価値を強調した。

国に左右されない仮想通貨(暗号資産)

その他にもロジャー氏は「仮想通貨は政府や銀行が介在しない。送金スピードや手数料についてもP2Pの恩恵がある。それ故に貿易の障壁が低くなり、国と国との貿易摩擦の解消にも繋がる。」といった話や、「非中央型ガバナンスであることも良さであり、国や政府といった発行体に左右されないため、誰にもその流通を止めることができない。唯一止められるとすれば、世界中のインターネットをすべてオフにすることだが、そんなことはできない。誰にも止められないパーミッションレスなイノベーションであり、それは自由な革新なのだと思う。」とも語っていた。

元々ロジャー氏はリバタリアン(無政府資本主義者)であり、仮想通貨(暗号資産)の魅力として「国や政府に支配されない経済の流通」があると考えていると言われている。

この講演でも改めてそういった考えが中心にあり、世界中の経済活動を一新するような仮想通貨(暗号資産)に大きく期待を寄せていることが伝わってくる内容となった。

ビットコインはすでに時代遅れ?

そんなビットコインの神とも言われるロジャー氏だが、最近ではビットコインキャッシュの中心的人物としても知られている。

2017年から「資産の多くをビットコインからビットコインキャッシュに移した」「ビットコインキャッシュこそが本当のビットコインだ」などとSNS上で発言し、ビットコイン・ビットコインキャッシュの相場が大きく動くということも起きている。

今回の講演でもビットコインキャッシュについて語られた。

「ビットコインは2011年頃には仮想通貨としての完成形に近かった。ただし現在ではスケーラビリティなどもあって、ビットコインは仮想通貨として求められる機能を満たしきれていない。一方でビットコインキャッシュはそれらの問題をすべてクリアしている。

ビットコインキャッシュはまだレートも低く、今からでも始めやすい。ぜひビットコインキャッシュの魅力を世界に広めてほしい。今はAmazon.comでの買い物もビットコインキャッシュでディスカウントを受けることができる。まずはそれを目的としていいので、ぜひ実際に使ってみてほしい。」という話で講演を締めくくった。

当日会場ではロジャー氏自らが、来場者にQRコードで読み込めるビットコインキャッシュを無料で配布するなど、実際にロジャー氏がビットコインキャッシュに対して大きく力を入れていることが伺い知れる話もあった。

一方で先日発生したばかりのビットコインキャッシュのハードフォークについての発言が出るかと予想されていたが、講演の中でハードフォークについては触れられなかった。無用の混乱を避けるためにあえて触れなかったのかもしれないが、ロジャー氏の基調講演は予定時間よりも早く終了したこともあって、よりハードフォーク問題に対する関心が集まってしまった部分もあったように思える。

ビットコインの神は仮想通貨(暗号資産)の神となるか

ロジャー氏の主張は一定であり、仮想通貨(暗号資産)が如何に世界の人々を幸せにするか?というテーマにあると感じられた。そしてそのためのソリューションとしてビットコインではなく、ビットコインキャッシュがその役を担っていくということも近年変わらないロジャー氏の主張となっている。実際に今後ビットコインキャッシュの価値が高まることで、ロジャー氏はビットコインの神から、仮想通貨の神と呼ばれるようになるだろう。

今後もロジャー氏とビットコインキャッシュの動きには、世界の注目が集まりそうだ。

世界のマイナーのトップ、ジハン・ウー氏

さて、本イベントでロジャー氏に並ぶ注目を浴びていたのが、世界最大のマイニング企業であるBITMAINの創立者の一人でもある「ジハン・ウー」氏であろう。元々メディアの露出なども多くなく、日本国内での公式のイベントに登壇することは今回が初めてなのだという。

一般的にジハン氏=マイナー代表という見え方ともなるため、中国を中心としたマイニングのためのパーツの買い占めや、電力を大量に使用しているといった負のイメージや、元々ジハン氏はサトシ・ナカモトの論文を中国語に訳した優秀な技術者でもあり、いったいどういう人となりなのかも世界の注目を集めている人物でもある。

世界中のマイナーのトップであるジハン氏の発言はどういったものだったのか。

ジハン氏の登壇は他の登壇者も含めたトークセッションとなっていたが、今回はジハン氏の発言を中心に紹介をしたい。

現状のマイニング業者とは

「現在のマイニング企業はデータセンターのようなイメージだ。膨大な数のコンピューターを使用し、ブロックチェーンのセキュリティを担保している。マイナー同士はコスト集約型なイメージで各々競争をしていく。その活動はこの先、さらに活発になると思う。
またこれからのマイナーは自らコミュニティを作ることもあり得るだろう。
ASICの登場でマイニングは工業化してきている部分がある。一つの工場で100人以上の社員を雇っていることもある。結果的にブロックチェーンのステークホルダー達とマイナーとの間で距離が離れつつある。
マイナーはもっとオピニオンリーダーたちと、新たな商品を開発していくのではないかと思う。」

これはジハン氏の発言の冒頭となるが、いわゆる「マイニング工場」を作り上げたジハン氏が、工業化することで仮想通貨コミュニティとの距離が離れてしまっていることを問題と捉えているという興味深い内容であった。

実際にマイニングはコストや報酬の面から、相場影響を与えやすい存在になってきている。結果的にその仮想通貨が実現したい思想と、マイナー達の思想が別個に動きすぎる事を危惧していると言えよう。

電力問題について「理想論かもしれないが…」

ジハン氏のマイニングに関する膨大な電力消費については「電力コストについては、銀行などの金融機関も膨大な電力を消費している。銀行のコストを電力コストで語られることは少ないのではないか。
理想論かもしれないが、金融活動にとって電力は欠かせないものであり、人間社会ではそいう役どころが必要なのではないだろうか。
一方で電力の最適化は必要であり、イーサリアムのように一部ハイブリット型にするなどは考えていかなければならない。」と語っていた。

ジハン氏の考えるコンセンサスアルゴリズム

マイニングではPoWやPoSといった、その仮想通貨(暗号資産)が採用しているコンセンサスアルゴリズムが重要となってくる。

ジハン氏は「コンセンサスアルゴリズムは色々なタイプがあるが、残っていくのは数個だとみている。PoWはある程度完成されているものなので残っているのだろう。ただしハードウェアなどの問題は残っている。

PoSはセキュリティの課題として、ロングレンジアタック(※1)への対応などが残っている。これはPoWであれば起きづらい。ロングレンジアタックについては、対応策が色々なコミュニティで提案がされている。例えば中央集権的な管理者を置くなどだ。

PoWではコスト的な問題があり、PoSではセキュリティの問題がある。これらをうまく解決していく必要がある。イーサリアムではPoWとPoSの組み合わせを行っている。」と考えているとのことだった。

(※1)ロングレンジアタック:PoS形式において、過去の多額の残高が記録された秘密鍵を用いて、過去に遡って新たにチェーンを生成し、そのチェーンが正当であると記録を塗り替える攻撃のこと。

「ビットコインキャッシュの混乱はクレイグ・ライトのせい」

ロジャー氏と同様にジハン氏も直近ではビットコインキャッシュを推しているのは有名な話だが、ロジャー氏が触れなかったハードフォーク問題について、ジハン氏は熱くその思いを語っていた。

「ビットコインキャッシュのPoWは10年前と同じものを使っている。これはぜい弱だろう。51%アタック(※2)を受ける可能性もある。
今回のビットコインキャッシュのハードフォークにまつわるカオスな状況は、すべてクレイグ・ライト氏によるものだと思っている。彼は責任を取るべきである。
クレイグ氏は度々攻撃的な行動を繰り返している。すべてにクレイグ氏は反対しているが、元々仮想通貨のコミュニティを1人ですべてを破壊するなどできない。クレイグ氏のような『悪い人』が1名が入ってきてもコミュニティの方が大きいのだから。開発者たちは最も良いソリューションを選択するはずである。
こうした事があったせいで、よりヘルシーなコミュニティが出来上がっていくのではないだろうか。」

クレイグ・ライト氏とは、一部からサトシ・ナカモト本人だと言われている人物であり、今回のビットコインキャッシュのハードフォークに関しては、コミュニティの主流であったABC派と対立したSV(サトシ・ビジョン)派の代表的な人物でもある。

ハードフォークの原因はロジャー氏も参画してるABC派の示した方針に異を唱えたSV派との対立とされているが、ジハン氏が公の場でクレイグ氏を「悪い人」と断定したことは非常に注目すべき発言であったと思われる。

今後のビットコインキャッシュの命運に関わる、ロジャー氏、クレイグ氏、ジハン氏の動向にはますます注目が集まりそうだ。

(※2)51%アタック:PoW形式において、ネットワーク上のマイニング能力の51%を支配することで、その仮想通貨全体を掌握することが出来てしまう攻撃のこと。過半数を特定のマイナーが占めることで、チェーンの改ざん等が行えてしまうという攻撃方法だが、51%を1人が握るためには莫大な資金などが必要とされるため、実現が難しい攻撃方法でもある。今回クレイグ・ライト氏はビットコインキャッシュのハードフォークにあたって「51%攻撃も辞さない」という発言を行った。

ジハン氏は熱い人間?

ジハン氏にとって初めての日本での登壇となったが、実際のジハン氏の印象はクールな一面も持ちつつも、熱い想いを抱いた技術者、といったイメージであった。
仮想通貨全体を俯瞰的に見ているような冷静な解説もあれば、プロトコルなどの技術的な話になると、かなり深い領域までを嬉々として語り、そしてクレイグ氏に対しては熱く糾弾するなどの様々な面を垣間見ることができた。

これからもジハン氏はマイナーの代表、そして仮想通貨(暗号資産)の中心的人物として活躍していくのだろうと思わせる登壇となった。

イベント全体として素晴らしい試み

以上、前後編と分けてイベントの一部を紹介してきたが、この他にも様々なセッションが行われ、現在国内で開催された仮想通貨関係のイベントとしては、トップクラスに充実した内容であったと言えよう。

イベントの参加費は無料であり、特別協賛のビットポイントジャパンからは書籍やノベルティなどのお土産なども配布され、参加者達は皆満足げに会場を後にしていた。

仮想通貨(暗号資産)全体の相場は冷えて来てしまっている部分もあるが、2019年は仮想通貨(暗号資産)をさらに大きく飛躍させるためにも、こうしたイベントが数多く開催されることを期待したいと思う。

各登壇者たちが揃って言っていたように、「知って、実際に使ってみる」人が増えることが、何よりも仮想通貨の発展に繋がるのだから、さらに認知を拡大するためにも、メディアや取引所がこうした取り組みをしていくことは非常に重要になってくるだろう。

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